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9月4日 「あした天気になる?〜発達障がいのある人たちの生活日記〜」 宮崎信恵監督のゲストトーク

2009/09/05

 この作品は、知的障害者施設「サンガーデン鞍手」で暮らす人々の日々を描いたドキュメンタリー映画です。それぞれの喜びや苦悩を分かち合う仲間や職員の姿をありのままに映し出しています。上映後には、宮崎信恵監督がゲストトークに登場しました。

Q この映画を作ったきっかけはなんですか?
宮崎監督 まず、3年前に『無名の人〜石井筆子の生涯〜』で観客賞をいただき、その中で「歴史もいいけれど、今の発達障害のことを」と多くの声が寄せられたところにあります。私はとにかく青春群像を追いたかったので、全員が主人公なのだ、という思いで撮りました。また、発達障害のある人たちは特別ではない、我々と同じ水平線上にいる人だということを知ってもらいたかったからです。ですから、このような映画祭で上映できたことは、最高の収穫だと思います。

Q このテーマで撮影するにあたって最も気をつけたことは何ですか?
宮崎監督 取材をする者というのは、気をつけていてもどこか高い目線から見てしまう習性があります。それを意識して無くすことです。あとは、プライバシーの問題もありましたね。ですが、保護者の方も施設との信頼関係があったから受け入れてくれたのだと思います。このように全面的に受け入れてくれる人たちとの出会いがなかったら、この映画はできませんでした。

Q 出演されている皆さんにこの映画を見てもらった反応はどうでしたか?
宮崎監督 この映画を撮り終えて一番最初に見てほしかったのが彼らでした。感想を聞くと、「僕が出てるのが少ない」、「もっと映してほしかった」という声ばかりで、心配も吹き飛ばされてしまいました。彼らの多くは若い方です。大きなカメラ、ライトを持って行きましたが、私たちが考えている程の抵抗はなく、中にはスタッフの一人として協力してくれた方もいました。映像にフィードバックすることに対して、好感をもって見てくれたんじゃないかなと思います。

Q サンガーデンについてどのような施設だと考えていますか?
宮崎監督 このような施設は日本では数少ないと思います。ここはいつも自由で、とにかく受容することを大切にしています。将来への希望を持ち、もっと有意義になる時間を模索しながら、彼らにとっての最高の時間を受け入れています。みんなそれぞれ言葉では言っていますが、実践に移すのは難しいです。サンガーデンは馴染める関係を常に考えた、運営を工夫している施設です。

Q 今後この映画をどのように伝えてきたいですか?
宮崎監督 このような映画をどのように伝えていくかは、我々に課されたもう一つの大きなテーマであり、悩みの部分でもあります。地域の中に自主運営の実行委員会を立ち上げ、その周りに20人、30人でいいので小さいところから広がっていけばいいと思っています。

 上映中にも何度か涙を流している人たちの姿が見られました。映画に込めた思いが十分伝わったようで、宮崎監督も「これからも頑張っていきたいと思います」と力強く語りました。

(小川)